「ひまわり」286号(2018/1/17)が発行されました!

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東京大学はすべての有期雇用教職員に対する5年上限と6ヶ月クーリングをついに完全撤廃!

新しい年を迎えました。近年冬将軍の力が侮れず、寒さ厳しい毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。2018年初めてのひまわりをお届けいたします。
みなさまご存知のように、時は2017年12月半ば、冒頭のような見出しが紙面(私は四国の某夕刊紙でも見つけました)をにぎわせました。このたびのホットな話題に関連いたしまして、本ひまわりにご寄稿いただきましたことを心より感謝申しあげます。

「雇止め撤廃と差別について」 
 短時間勤務職員部会 東 史(ひがしふみ)

東京大学が有期雇用教職員に対する5年上限と6ヶ月クーリングの完全撤廃決定。2017年は画期的な年となりました。この成果については、初めて首都圏大学非常勤講師組合と連名で団体交渉を進めたことがとても大きかったと思います。当局が非常勤講師と労働契約を結んでおらず、過半数代表選挙にも参加させてこなかったため、「これまでの過半数代表が結んできた労使協定は無効」だと揺さぶりをかけることが出来たのですから。
雇止め問題に関する8月7日、9月21日、11月9日の団体交渉の他、二度にわたる厚労省記者会での記者会見、参議院会館での院内集会など、東職委員の皆さん、わけても佐々木委員長は本当に頑張って下さいました。「非常勤職員の大半は女性。非常勤職員をないがしろにするのは女性差別だ。」という言葉にはいつも励まされました。

6月21日の団体交渉の際、(この時は雇止め問題メインではなく、夏季一時金と昇格等に係る団交)私は短時間勤務職員部会の代表として、病休や介護休暇、看護休暇の有給化を訴えました。もちろん雇止め撤廃は一番肝要なことですが、それでなくても手取りの少ない者にとっては切実な問題なので、少しでも改善を図りたかったのです。それに対して戸渡理事は、「働いていない時間についてお給料が出ないのは当たり前。ノーワークノーペイということです。品物が届かなければお金は払わないでしょう。」という意味の発言をしました。佐々木委員長はこの時、「これはひどい。」と憤り、非常勤職員のために闘う気持ちにスイッチが入ったそうです。
短時間勤務職員の処遇改善要求に対し、当初、本部側は、「本来この職種は単なる補助要員である。ただ、今現在正規職員的な働きをしている人もいることは把握している。だからそういうやる気のある人は、新しく出来る『職域限定職員』に応募して。こちらはフルタイムで働けるから。非常勤職員の方は、”本来あるべき姿”に戻す。」と言い放ちました。
本部の言う”本来あるべき姿”の非常勤職員というのは、簡単に使い捨てられる単純作業だけの要員なのでしょう。そのために『職域限定職員』という新職種とセットで、これまで35時間まで認められていた一週間の勤務上限を30時間に引き下げ、5年の雇用上限を3年とし、名称も「補助員」と変える案を出してきたのです。明らかな改悪でした。
団交のたびに佐々木委員長はこれに対し反論しました。「やる気のある人はフルタイムでやれ、そうでないものはやる気がない二流だ、というのは、家庭の事情をかかえて短時間しか働けない女性に対する差別だ。見ただけで分かる。そちら側は沖ノ島だ」と。
世界遺産の沖ノ島は、女人禁制の島として知られています。立ち入るのは男性のみの閉ざされた世界。本部側に記録を取る女性一人くらいは目にしましたが、発言権を持つ人など誰も居ません。見事に男性ばかりなのです。それを皮肉った言葉ですが、そもそも理事たちにその意が伝わったかどうか、何の反応もありませんでした。

今回、この結果を勝ち取れたのは、大学内部の交渉だけではなく、報道や国会議員への訴えなど、問題を広く世に問うたことが当局への外圧となってのことでしょう。本部からの満額回答後の記者会見で「世論が東大を包囲した。」「国会も”無期転換国会”と言えるものだった。」と述べた佐々木委員長の報告は明快でした。「これまで改正労契法の趣旨に対する誤解があった。”無期転換にはお金がかかる”というのは都市伝説。予算の裏付けがないから無期転換は出来ないというのは思い違い。実際には昇給や昇進は関係なく、ただ雇用限度の上限がなくなるだけなのだから、お金は必要ないし、それを理由にして拒むのは間違っている。」
また、非常勤講師組合の松村委員長の発言も、とても心に残りました。「非正規の中の階級は認められない。非常勤講師の問題だけが解決して、非常勤職員はそのままというのはあってはならない」「国連は2013年に日本に対して勧告を出している。『委員会は、契約の性質に関係なくすべての被用者について同一の評価・能力制度を活用するよう促す奨励策を締約国がとっているにも関わらず、使用者によって有期契約が乱用されており、かつ、有期契約労働者が不利な労働条件を課されやすい状態に置かれていることを懸念する。委員会はまた、使用者が、有期契約を更新しないことにより、改正労働契約法で導入された有期契約から無期契約への転換を回避していることを懸念する。(第6条、第7条)』改正労契法には抜け穴がたくさんあることを、関西圏大学非常勤講師組合の新屋敷委員長が、ジュネーブまで出かけて行って訴えたのです。」
本当に「使用者によって有期契約が濫用されて」いる状態がまかり通っていたのです。そしてその根本には非常勤職員を取るに足りないものとする差別意識があるのだと思います。意識を覆すのは並大抵のことではありません。まだまだかたちを変えてさまざまな問題が起こるかもしれませんが、組合を拠り所として皆で頑張りましょう。

男女共同参画基本データと分析その1
前号のひまわりでも記述いたしましたように、東職女性部では例年通り1.構成員(職員)の男女比調査、2.男女共同参画基本データ(育児・介護休業休暇に関する数値)3.その他改良したこと、問題点などの調査を行い、7月6日付、大学本部より詳細な回答をいただきました。今号では育児・介護に関するデータを中心に分析したいと存じます。データは2016年度のものになります
*育児休業は男性、女性の教職員ともに取得することができます。ただし、短時間有期雇用教職員(満1歳と6月まで)と教職員(満3歳まで)では取得期間、取得方法等が異なります。*非常勤(短時間有期雇用)教職員の方にも代替制度を活用することのできる大学があります。*子の看護休暇は男性、女性の教職員ともに取得することのできる特別休暇です。