かわら版2016‐2号(2016/8/24)が発行されました

ダウンロードできます⇒かわら版20160-2(新執行部で気持ちも新たに)

2016年度新執行部が発足しました
7月2日(土) に第 126回定期総会にて新しい執行部が選出されました。

~~新 執行委員長 ごあいさつ ~~
 さて皆さん、職場の様子はいかがですか。以前に比べて仕事量が増えているなと思うことはありませんか。将来に対して不安に思うことはありませんか。
 この間、定員削減が進み、運営費交付金も削減され、競争的資金への依存度が高まっています。その結果、教員も職員も非正規雇用が増えています。5年で雇い止めになり東大を去らざるを得ないケースが増えています。このような状況が続いて行くことは深刻な問題だと思います。
 私たちは東大に着任したとき、東大の教育と研究に携わり、それを支えることに誇りと責任を感じました。実際、5年間という期限でも、その間に一人一人が培った能力や経験は東大にとってかけがえのないものであるはずです。実際にその力が東大の教育と研究を支えています。それをいかにも代わりがいくらでもいるかのように切り捨てていくことはおかしい。よりよい東大を作るためには、そういう力こそ大事にされるべきです。
 東大にはこのように現在様々な問題が生じています。それらは簡単に解決できるものではないかも知れません。しかし、そういった問題をどうやって解決するのか、その道筋を明らかにしていくことが重要です。私たち組合は常に働くものの立場に立って考え、議論し行動しています。
 皆さん、おかしいなと思うことがあったらいつでも私たちに声をかけてください。いつも皆さんの隣にいる組合でありたいと思っています。よろしくお願いします。
       2016年度執行委員長 坂本 宏 (素粒子物理国際研究センター)

~~ 最近のランチョンセミナーから ~~
第23回東職ランチョンセミナー『再生可能エネルギーの系統接続の課題と対策』
講師:今中正輝氏(生産技術研究所特任研究員)
 東日本大震災の福島第一原発事故から5年が経過した。3.11以降の海外の原発に対する対応、再生可能エネルギーの最前線についてお話があった。
海外では原発の割合を徐々に減らし再生可能エネルギーの割合を高めている傾向が示された。この5年で海外では様々なエネルギー源に対する模索が行われているのに対し、原発事故を引き起こした日本はこの面では後進国であると再認識した。原発推進を政府、企業ともに進め、安倍首相は原発セールスマンのごとく世界中で売り込みをしている。あらためて日本の現状と対応を再認識することができた。
 今中さんの研究されている、「淡水化装置の消費電力」については十分な時間がなく聞くことができず残念であったが、前段のお話は分かりやすく、今後、今中さんの研究発表、機会があれば拝聴したい。分野は違うものの第24回東職ランチョンセミナー 岡屋さんの講演にもつながるお話だった。

第24回東職ランチョンセミナー『なぜ原発はNGなのか?』
講師:岡屋克則氏(工学系研究科助教)
①「核開発に携わった人々の起こした事故」では、K19などの軍事関係事故、SL1などの原発関係事故、東海村などの日本での事故、核研究者らの起こした事故などを取り上げ、事故原因は人為的ミス、人為的不作為、知識不足、危機管理の不十分さであることが浮き彫りにされた。
②「高速増殖型原子炉『もんじゅ』の事故」については、ナトリウム漏えい事故、中継装置落下事故のほか、1万箇所もの点検漏れ、虚偽の報告書などについて解説があり、日本原子力研究開発機構が核研究組織として「不適当」であることが紹介された。
③「原発事故の被害」では、3大原発事故による経済的被害額および遺伝子被害についての説明があり、各事故によって発生した奇形が映像で紹介された。
④「原発の安全性確保の前提」では、日本にとって化石燃料の枯渇を見据えてエネルギー源としての核融合炉の必要性が指摘され、原子炉の安全な運用のために必要な前提が提案された。中でも「最終的かつ絶対的な原子炉冷却方法」として設備全体を水没させることのできる構造が用意されるべきであるとの提案は斬新であった。
全体を通して核を取扱う「人間」に問題があることが指摘され、今後の原発に対する考え方を見直すべきことを痛感させられる講演であった。