No pasarán 戦争する国づくりにストップを!

戦争法廃止をめざす東大有志の会ビラ⇒有志の会ビラ4月号

共に行動しましょう!  2016年4月7日
東大教授・戦争法廃止をめざす東大有志の会共同代表
小森 陽一

新入生の皆さん、ご入学を心から歓迎します。「おめでとう」という祝意を表す言葉を使うことが出来ないのは、みなさんが入学する直前の2016年3月29日、「戦争法制」としての安全保障関連法が施行されたからです。この日3万7千人が国会を包囲しました。

戦争法制」は昨年9月19日に、多くの国民の反対を無視して、参議院で強行採決されました。その後、毎月19日には「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催で、国会前等で「戦争法制」廃止を求める大きな抗議行動が行われてきました。強行採決から5ヶ月後の今年の2月19日に、5野党が共同で、「戦争法制」を廃止する法案を国会に提出しました。これについては、一切の審議を行わないままの「戦争法制」の3月29日の施行だったのです。

安倍晋三首相は、29日の参院予算委員会で「安保法を廃止すれば、日米の同盟の絆は大きく毀損される」と、野党の廃止法案と国民の反対運動に対して,露骨に敵意をむき出しにしました。そして、この発言の前提として「日本を守るために互いに助け合える日米同盟に変わる」ことを強調していました。

「日本を守るため」だけなら、2014年7月1日の閣議決定で、集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲は必要なかったはずです。北朝鮮が核開発やミサイル発射で挑発し、威嚇し、交渉に持ち込もうとしている相手はアメリカと韓国です。狙われているのは日本ではありません。にもかかわらず「日米同盟の絆」を強調することは、アメリカの戦争に進んで組み込まれ、日本が狙われるようにすることにほかならないのです。

防衛省は同じ日、「駆けつけ警護」の際などの武器使用をめぐる、40の訓令を出したと発表しました。「駆けつけ警護」とは、改悪されたPKO協力法の下で、武装集団に襲われた外国部隊や民間人を自衛隊が武器を使って守る任務です。新入生のみなさんと同じ世代の自衛官が海外で「殺し殺される」状態になることを絶対に許してはなりません。

日本をアメリカといつでもどこでも一緒に戦争をする国に作り変えようという策動は、同時に、大学での研究と学問にも「軍学共同」を押しつけてきています。2015年7月防衛省は「安全保障技術研究推進制度」の募集を開始したのです。

東京大学でも「軍事研究は行わない、また軍からの研究援助は受けない」という,1969年の大学当局と組合との間の確認書に反する動きがありました。東京大学教職員組合は、直ちに声明を発表し,当時の濱田総長の「軍事研究の禁止は東京大学の教育研究の最も重要な基本原則の一つ」という立場を支援しました。そして2015年6月16日の五神真現総長との懇談においても、軍事研究禁止の原則は変わらない、という発言を得ています。

戦争する国づくりとそれに協力する大学づくりは,私たち大学人自身の運動によって阻止し、かつ押し直していくことができるのです。

「戦争法制」が施行された同じ日の記者会見で、安倍首相は「給付型奨学金」の創設を検討する考えを表明しました。ブラック貧困ビジネス化した奨学金制度と高い学費を批判する学生たちの運動の一つの結実です。

新入生のみなさん全員が今度の参議院選挙で投票権を持つことになります。野党の共同を国会のなかで実現し、戦争法廃止を実現するために共に行動していきましょう。